日本の伝統前掛けMoMAに

日本の伝統前掛けMoMA(NY近代美術館)デザインストアで販売を開始した。

日本の伝統的な前掛けが、このほどニューヨーク近代美術館のMoMAで販売を開始した。有限会社エニシング(西村 和弘代表取締役社長、本社東京都)が製造販売する前掛けで、今年1月にフランスのパリで開催された見本市で、MoMAのバイヤーが気に入ったのがきっかけでニューヨークでの販売につながった。

同店のドナルド・コロー店長=写真左=は「1か月ほど前から展示販売しているが人気商品だ。マテリアルが頑丈で、耐久性に飛んでいるだけでなく、日本レストランで見かけるようなクールなイメージだ。MoMAのバイヤーは世界中を飛び回って、ユニークで他のどこにも売っていないようなデザインを掘り出してくる。西洋のエプロンは首からかけるが、これは腰で縛って止めるところが粋だね」と腰骨にかけるようにつけて前で結んでポーズをとってくれた。説明書きには「このコットンの前掛けは、エコロジーの工場で手染めされた日本の職人の1世紀に渡る技術が込められている。リッチなテクスチャーで、丈夫で頑丈だがとても柔らかい」とある。紹介のタイトルは「ジャパニーズ・マエカケ・ワークショップ・エプロン」。

前掛けの原型は室町時代に生まれ、現在の形になったのが江戸時代、と言われているが、前掛けは、神社からの流れを汲む「神聖な」用途と、腰を守る「実用的な」用途の2つで長年形を変えず使われてきた。これらの伝統と本質的な魅力を「未来につなげたい」と、2005年に前掛け事業を開始。2019年、令和元年6月21日、愛知県豊橋二川に「エニシング前掛けファクトリー」を設立。約100年前のトヨタ、スズキ、遠州のシャトル織機9台が現役稼働し、分厚く柔らかい前掛けを製造している。

西村社長の話「ニューヨークは2007年から前掛けを広めるためイベントなどを行っていたが、近年はヨーロッパ中心に切り替えたため、しばらく時間が空いていた。再びNYで日本伝統の前掛けが、デザイン、機能の両面で評価され、発売につながったことをうれしく思う。日本の文化、ものづくりを世界に知ってもらうチャンスとして活かしていきたい」

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